日曜日のゾンビ

家庭菜園を始めたい。花でも野菜でも、なんでもいい。

動物を飼いたい。でもその子が死んだ未来を想像すると耐えられない。その子よりも長く生きている自分も想像できない。

天気の晴れた午前中、ソファーに盛大にコーヒーをこぼした。シーツで覆っていたことで、ソファーの生地自体に染みは残らなかった。洗濯機でシーツを洗い、ベランダに干す。シーツが黒だったおかげで、どこにも汚れは見当たらなかった。

久しぶりに散歩にでる。日曜日、小さな子供を連れた夫婦や、女性、男性たちとすれ違う。ものすごく遠い場所に私はいて、彼らは何かの拍子に見えた蜃気楼のよう。酸素の薄さに道端でしゃがみ込みたくなる。私が知らない人たち、私を知らない人たち。スーパーでチョコチップが散らばるメロンパンとジュースを買った。大きな公園を歩く。日なたになっていたベンチに座り、メロンパンをかじった。タイミングを合わせたように日は陰りだし、指先に触れるビニールや包装紙だけがここに私がいることを主張していた。カサカサ、もぐもぐ。

ブログを始めたことで、人のエッセイを読むようになった。気持ちが沈んでいるとき、直接的な言葉を使う記事は、筆者が描かなかった抽象的な体験たちを通り越して、筆者の苦しさだけが私と目線を合わせる。ときどき、それに耐えられない。「村上海賊の娘」1巻を途中まで読み進めていた。登場人物は生命力にあふれていて、少しずつ心に鈍い痛みを残すようになった。いまはもうページをめくれなくなっている。進まない栞を抜けないままテーブルの隅に置いている。

自宅に戻り、ソファーで横になって目蓋を閉じる。目蓋を開けると3時間以上が経っていた。寒さで体が強張る。冷めきった指先で冷めきった頬にふれる。外は真っ暗になっていて、干したままにしていた黒いシーツを思い出した。取り込んだシーツをソファにかぶせ、温めたお湯で紅茶を作る。暖かいマグカップを両手で包み、夜の外気が残した冷たさに体を沈めた。少し眠ったことで、日中最低だった気持ちは少しだけ、マシになっていた。
何か静かな映画を観で眠りたい。