「忘れてもいい」って言われた気がした

もちもーち。こちら地球星日本国シロ隊員。応答どーじょー。
この星はとっても平和です。どーじょー。
はいっ・・・はいっ、シロ隊員、全力で悪とたたかいます。
以上、交信終わり。どーじょー。

鉄コン筋クリート 1巻』 - 松本大洋

主人公のシロがどこにも繋がっていない公衆電話のなかで独りつぶやく場面。

「届かない」ということが届いてしまう景色は、どこか理解しようとすることを諦めてしまった2人が、永遠に交わることのない平行線の上に立っている姿を想像してしまう。松本大洋は「届かない」ということが届いてしまう奇跡を描いているように思えた。作中、たくさん散りばめられた届かなくてもいい言葉は忘れてもいい思い出の形をしていた。不思議とそんな場面たちが愛しくてなんども読み返していた。出会ったころが夏だったからか、夏のたびに忘れることを許してくれる記憶となって再会をくりかえしている。

まったく脈絡がないのだけど、暑すぎて死にそうである。