2022-11-01から1ヶ月間の記事一覧

結んで、解いて

11/23 水曜日、風もなく雨だった。部屋の窓から見える森林公園は、日に日に黄色や赤色を重ね、空を舞うカラスたちがいて、夕陽は毎晩そこに沈んでいった。 眠れない夜から覚めるのはだいたいお昼ごろで、低気圧の日は頭痛が加わって消化していくだけの日と出…

病める時も、健やかなる時も

睡眠薬を飲んでも眠れない日がつづいている。目蓋を閉じることは「ありもしない日常」を夢想することだった。数年前、年末に両親の墓に花を添えるために帰省した。大晦日、ビジネスホテルの一室でひとり過ごした窓の向こうに見えた繁華街は、この世で最も遠…

眠りから覚めるために

夜、お風呂上がりにベランダの窓を開けて夜風に当たることが日課になった。窓を開けている間、月がちょうどよく見える時間帯を知った。きっかけは、先週お酒に飲まれに飲まれて酩酊しながら、虚ろな視線を夜空に向けつづけていたから。どれだけ欠けていても…

落ちた空

喪失のあとに誇らしく獲得を語る歌が嫌いで嫌いで仕方がなかった。かけがえのないと語る一方で、その関係性によっていかに自分が何を獲得したのか、かけがえがないとされるそれすら失ってもまだ獲得のほうが大事なのか私にはどうしても分からなかった。そん…