ともだちの定義

10年以上の付き合いになる友人がいる。あるとき、老人になってもこんな風な関係でいられたらといいね。と彼女が言った。よくある話だと思うが、私はこの手の話が嫌いで仕方がない。誰かのみる夢や想いは曖昧で、いつからかその夢や想いが私に向かうとき、なにも期待しないようになった。期待しないことで彼女を信じることができた。

やがて訪れる別れのとき、あの時間は美しい夢だったと思い出が知らせにやってくる。

共通の知人と話す機会があり、その知人から彼女が私という友人を「失ってしまった」のだと聞かされた。思わず笑ってしまった。私は友人だと思っているが、彼女にとって私はもう友人ではなくなっていた。別れはいつだって相手のほうから離れていったとお互いが思っているものらしい。

実はそんな友人に先日LINEを送っていた。

「さいきん暑いね。元気にしてる?」

既読になったが返信がくることはなかった。ずっと○○でいたいね。そんな安くて優しくて夢のような言葉たちが年月を重ねていくとどんどん儚い言葉に形を変えていく。愛しくて愛しくて悲しい言葉に変わっていく。